2021年09月24日

3000万円の特別控除とは?課税の仕組みと控除の特徴、注意点を解説

農地や宅地といった敷地等、マンションや一戸建てといった家屋等の売却で譲渡益(売却益)が出ると、譲渡所得税(所得税、住民税、復興特別所得税)を納付しなくてはなりません。

譲渡所得税の税率は、住宅の所有期間が売却した年の1月1日時点で5年を超えているかどうかで税率が大きく異なりますが、低いほうでも20%を超えているため、何とかして税負担を軽減できないのか気になっているという人も多いのではないでしょうか?

この記事では、税負担を軽減する効果が期待できる3000万円特別控除とは何なのか、利用条件や注意点も解説します。

税負担を軽減したい人は参考にしてください。

3000万円の特別控除とは?

土地や自宅といった居住用家屋を売却して利益が生じた場合は、譲渡所得税が課税されます。

一方、損失(譲渡損失)が生じた場合は、譲渡所得税が課税されません。

譲渡所得は、「売却価格-取得費-譲渡費用」という計算方法(計算式)で算出します。

最終的に譲渡所得から控除を引いて、譲渡所得がプラスになった場合のみ譲渡所得税が課税されます。

利用できる控除の1つに3000万円特別控除がありますが、具体的にどんな内容なのか気になっている人も多いのではないでしょうか?

3000万円特別控除とは何なのか、制度の仕組みについて詳しく説明していきます。

●3000万円の特別控除とは

3000万円の特別控除とは、課税譲渡所得から最高3000万円を控除できる制度です。

正式には、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と呼ばれています。

不動産売却時に3000万円超の譲渡益(売却益)が出た場合のみ譲渡所得税が課税されるため、譲渡所得税が課税されることはほとんどありません。

参考:「No.3302 マイホームを売ったときの特例」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

●3000万円の特別控除は10年超所有軽減税率の特例との併用も可能

10年超所有軽減税率とは、不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間10年超の場合に、譲渡所得に対する税率が低くなる制度です。

譲渡所得が6000万円超の部分と6000万円以下の部分で適用される税率が次のように異なります。

・6000万円超の部分:税率は長期譲渡所得税と変わらず20.315%
・6000万円以下の部分:税率が14.21%に軽減される

3000万円の特別控除は、この10年超所有軽減税率の特例との併用も可能です。

短期譲渡所得税の税率が39.63%であることを考えると、所有期間が長くなれば長くなるほど税負担を軽減できるため、税負担を軽減したいのであれば長期所有がおすすめと言えます。

しかし、居住用財産の場合、所有期間が長くなるほど経年劣化により売却金額が低下するため、節税効果と売却価格の両方から適切な売却時期を判断しましょう。

3000万円の特別控除の利用条件

3000万円の特別控除はどのような不動産売却でも利用できるというわけではありません。

利用できるのは原則マイホームの売却に限られているといったように、利用できるケースが限られているため、当該家屋が3000万円の特別控除の適用要件に該当しているのか事前に確認しておく必要があります。

3000万円の特別控除を受ける条件とマイホーム売却以外で利用できる例外について解説していきます。

●3000万円の特別控除を受ける条件

3000万円の特別控除は、一戸建てやマンションといった居住用財産の売却しか控除が適用されません。

自分の住んでいた家屋を売る、家屋とともに敷地や借地権を売るケースでは適用される一方、所有者が住宅を貸付けているケースや賃貸マンション・賃貸アパート等の売却は対象外となります。

仮住まいといった一時的な利用目的、別荘のような趣味、娯楽、保養のための家屋も適用不可です。

また、家屋を取壊した場合は譲渡契約までの間に土地を住居以外に使っていなければ適用となりますが、売手(売主)と買手(買主)が親子や夫婦等の特別な関係の場合は不可といったように、ルールが細かく定められているため、事前に条件を確認しておきましょう。

●相続した空き家の売却時にも控除を利用できるケースがある

マイホーム売却でしか原則3000万円の特別控除を利用できませんが、増加傾向にある空き家解消の目的から被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときも特例を利用できる例外が設けられました。

適用できれば3000万円まで控除を受けられますが、以下の複数の条件を満たさなくてはなりません。

・昭和56年5月31日以前に建築された物件
・区分所有建物ではない
・相続の開始直前で被相続人以外が居住していない
・相続からおよそ3年以内に譲渡
・2023年12月31日までに譲渡
・売却代金が1億円以下
・一定の耐震基準を満たすもしくは更地にする

相続した不動産を活用する、将来的に使用する予定がないのであれば、適用条件に該当している間に売却することをおすすめします。

3000万円の特別控除を利用する際の注意点

3000万円の特別控除は、適用条件を満たしていれば自動的に適用されるというものではありません。

特別控除を利用する場合には手続きが必要、再利用する際は条件が決められているといった注意点が挙げられます。

後でトラブルに発展することを回避するためには特別控除を利用する際の注意点を押さえた上で控除を利用することが重要です。

利用時の注意点として以下の2つが挙げられます。

・確定申告が必要
・3000万円の特別控除を使うと3年間は再利用ができない

それぞれの注意点について詳しく説明していきます。

●確定申告が必要

譲渡所得は給与所得のような総合課税ではなく分離課税であるため、確定申告が必須です。

しかし、譲渡益(売却益)が生じていないケースでは確定申告が必要ありません。

そのため、譲渡所得が3000万円以内に納まる人の中には、3000万円の特別控除を利用した場合に譲渡所得がなくなるため、確定申告を行わなくてもいいと考えている人も多いのではないでしょうか?

ただし、確定申告しなければ3000万円特別控除は適用されません。

そのため、控除を利用したい人は、必ず確定申告を行わなくてはならないということを覚えておきましょう。

また、譲渡損(売却損)が出た場合は、損益通算により所得税を節税できるので確定申告したほうが良いです。

これを「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と呼びます。

特別控除や特例措置を利用したい場合、必要書類(確定申告書や本人確認書類等)を用意して税務署に提出(申請)しなくてはなりません。

控除についてよく分からないという人は不動産会社、確定申告の手間を省きたいという人は税理士等の専門家に事前に相談しましょう。

 

●3000万円の特別控除を使うと3年間は再利用ができない

3000万円の特別控除は、一度適用を受けると売却した年を含めて3年間は再使用ができません。

また、以下のような特例を売却した年の前年、前々年に受けていた場合も、3000万円の特別控除は使用できないという点に注意が必要です。

・特定の居住用財産の買換えの特例
・マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

特例や控除等を確実に利用して税負担を軽減したい、手続きの不備をなくしたいという人は、専門家に相談することをおすすめします。

適用要件を確認しておくことが大切

3000万円の特別控除は自身の自宅を売却するだけでなく、要件を満たしていれば相続した不動産の売却でも利用できます。

しかし、控除や特例は、適用要件の数が多く利用できない可能性もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

また、3000万円特別控除を利用すると、住宅ローン控除を利用できなくなるため、自宅の買い換えを予定している人にはおすすめしません。

どの特例を選択するのが良いのか分からない人は、不動産会社や税理士といった専門家に相談しましょう。

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「不動産投資の業界を誰もが挑戦できるクリアな業界に変える!」をモットーに、2016年6月、不動産投資家が集まって立ち上げた会社です。設立以降、不動産投資家による不動産投資家の為の投資コンサルティングサービスを複数展開すると共に、投資用物件の売買も行っています。宅地建物取引士、賃貸経営管理士、AFP認定者等、不動産から資産運用まであらゆる問題を解決する専門家が記事を監修、校閲しています。不動産を売りたい方、買いたい方、不動産にまつわる様々な疑問・問題を抱えている方へ役立つ情報をお届けします。

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