2021年09月09日

住宅性能評価書とは?チェック項目や取得するメリット・デメリット

注文住宅や分譲住宅などの新築住宅、中古一戸建てといった中古住宅(既存住宅)の売買について調べていて、住宅性能評価書という検査報告書の存在に気付いた人もいるのではないでしょうか?

住宅性能評価書が何なのかをよく知らないまま不動産売買に臨んだ場合、売買を有利に進められない可能性もあるので、住宅性能評価書とは何なのかを売買前に把握しておくことが重要です。

この記事では、住宅性能評価書とは何なのか、その特徴と取得するメリット・デメリットについて解説します。

住宅性能評価書について詳しく知りたい人は参考にしてください。

住宅性能評価書とは?

住宅性能評価書とは、新築住宅の購入・建築、中古住宅の購入・売却時に勝手に付いてくるものではありません。

登録住宅性能評価機関に検査を依頼して、交付してもらうことによって取得できるものです。

何のために住宅性能評価書を取得するのか気になった人も多いと思いますが、その理由を知るにはまず住宅性能評価書がどのようなものなのかを知る必要があります。

住宅性能評価書とは何なのかを詳しく説明していきます。

●住宅の品質確保等に関する法律の重要項目の1つ

住宅性能評価書とは、住宅の品質確保等に関する法律(住宅の品質確保の促進等に関する法律)、略して品確法の重要項目の1つです。

品確法で重視されている項目として、以下の3つが挙げられます。

・10年間の瑕疵保障
・住宅性能表示制度
・紛争処理体制

・10年間の瑕疵保証

10年間の瑕疵保証とは、住まいの構造耐力上主要な部分の瑕疵(欠陥)を保証するというものです。

構造耐力上主要な部分とは、耐震性に影響を与える構造躯体(基礎、柱、外壁、屋根など)です。

他にも、雨水の浸入を防止する部分の瑕疵(欠陥)の保証も挙げられます。

その他の部分については最低2年間の責任と保証期間が短い点に注意が必要です。

・住宅性能表示制度

住宅性能表示制度とは、物件の性能を分かりやすく表示する制度です。

建物の設計や施工を担当した建築会社ではなく、第三者の登録住宅評価機関(登録住宅性能評価機関)が法律に基づきながら評価します。

良質な住宅かどうか数値で容易に判断できるようになるため、売買時のトラブルを未然に防ぎ、安心して住宅売買に臨める点がメリットと言えるでしょう。

・紛争処理体制

紛争処理体制とは、買主は施工主や建築会社、売主と紛争に発展する可能性があり、万が一紛争に発展することになってもサポートを受けられる仕組みです。

例えば、指定住宅紛争処理機関(弁護士会)による紛争処理手続きを利用できます。

具体的には相談受付や助言を行っています。

しかし、全ての売買でサポートを受けられるわけではありません。

紛争処理のサポートを受けるには「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の両方の取得が必要不可欠なので覚えておきましょう。

住宅性能評価書の項目

住宅性能評価書で評価されるのは、新築住宅で10分野(10項目)となっており、構造の安定性、劣化の軽減、維持管理・更新への配慮、温熱環境の4つは必須分野です。

中古住宅の場合は現況検査と特定現況検査、個別性能評価の3つに分類されますが、現況検査が必須、残りの2つはオプションとなります。

新築住宅で評価される10分野について簡単に紹介していきます。

●構造の安定性

構造の安定性は地震や強風、積雪(大雪)などに対する建物の強度を評価したものです。

損傷の受けにくさを表しており、等級1は建築基準法レベル、等級3は等級1の1.5倍の強さで最高等級となっています。

●火災時の安全性

火災が発生した場合における避難のしやすさ、延焼のしにくさを評価したものです。

外壁や床面、屋根などの防炎性能、火災報知器の設置状況、避難・脱出のしやすさなどが評価項目となります。

●劣化の軽減

構造上主要な部分への経年劣化対策を評価したものです。

どのような材料を使用しているのかを評価し、等級3で3世代(75~90年)は維持できる構造躯体(耐久性)を有していることが分かります。

●維持管理・更新への配慮

維持管理・更新のしやすさを評価したものです。

給排水管やガス管などの配管の点検、清掃、修繕のしやすさなどが分かります。

●温熱環境

温熱環境とは、住宅の外壁や窓などの断熱性能を評価したものです。

暖房効率や冷房効率の良さ、省エネ性が高いかどうかが分かります。

●空気環境

空気環境とは、室内に有害物質が発散されているかどうかを評価したものです。

換気設備の機能性の高さを表しており、有害物質の発散量が少なければ良い物件と判断されます。

●光・視環境

光・視環境とは、室内の明るさを評価したものです。

東西南北および上方の5方向に設置されている窓の大きさと部屋の広さから室内の明るさを表します。

●音環境

音環境とは、隣の住戸への音などの伝わりにくさを評価したものです。

主に共同住宅(マンション)の評価に用いられており、左右の隣接住戸だけでなく上階、下階への音の伝わりにくさを表しています。

●高齢者等への配慮

バリアフリー性能に関して評価したものです。

手すりの設置の有無、段差の有無、階段の勾配が急でないかなどを表しています。

●防犯対策

防犯性の高さを評価したものです。

ドアや窓といった開口部に対して不法侵入がないように防犯上有効な設備(特殊な鍵や雨戸など)が設置されているかどうかを判断できます。

住宅性能評価書を取得するメリット・デメリット

住宅性能評価書は、不動産売買で自動的に発行されるものではなく、依頼して初めて取得できるため、取得すべきかどうか悩んでいる人も多いと思います。

発行の有無により後悔することを未然に防ぐためにも、住宅性能評価書を取得するメリットとデメリットを事前に理解しておくことが大切です。

住宅性能評価書を取得するメリットとデメリットを詳しく説明していきます。

●メリット

住宅性能評価書を取得するメリットとして、以下の2つが挙げられます。

・住宅の性能が分かりやすい
・多くの恩恵を受けられる

・住宅の性能が分かりやすい

1つ目のメリットは住宅の性能が分かりやすいという点です。

等級や数値で結果を確認できるので性能が高いかが明確、第三者の専門機関がチェックしてくれるので安心です。

物件の購入時に住宅性能評価書を取得すれば安心して暮らせる、売却時に取得すれば売却を有利に進めやすくなるため、購入に失敗したくない人や好条件での売却を希望しているまたはトラブルを未然に防ぎたい人には取得をおすすめします。

・多くの恩恵を受けられる

2つ目のメリットは多くの恩恵を受けられるという点です。

フラット35といった住宅ローンを契約する際に住宅性能評価書を取得していれば、住宅ローンの金利を引き下げてもらえる可能性があります。

また、すまい給付金の申請書類として使用できる、地震保険の保険料の割引を受けられる、贈与税の非課税枠が拡大されるなど、多くの恩恵を受けられます。

●デメリット

メリットだけを見れば、住宅性能評価書を取得したほうが良いと思った人も多いと思いますが、住宅性能評価書の取得は無料ではなく10万円~20万円程度の費用がかかるというデメリットが挙げられます。

そのため、売却を少しでも有利に進めるために評価を受けることを検討している場合、費用を売却代金で回収できるとは限らないという点に注意が必要です。

不動産を高く売却することを希望している人には「ソクガイ.jp」に相談することをおすすめします。

ソクガイ.jpは売主と買主が契約に合意さえすればすぐに売買契約が成立する不動産買取を扱っている不動産コンサルティング会社です。

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住宅性能評価書は臨機応変に取得

住宅性能評価書は、住宅の耐震性能や省エネ性能といった性能を数値で分かりやすくしてくれるもので、取得しておいて損はありません。

特に購入時には取得しておくことによって得られる恩恵が大きいため、取得にかかる費用はあまり気にする必要はないでしょう。

しかし、売却時に取得することは売却後のトラブルを回避できるというメリットがある一方で、売却代金に費用を上乗せできるとは限らないため、一概に取得するのが良いとは言い切れません。

不動産買取を選択すれば、売却後のトラブルを未然に防げることを考えると、売却を検討している人は不動産買取を選択するのも1つの選択肢と言えるでしょう。

株式会社NSアセットマネジメント

「不動産投資の業界を誰もが挑戦できるクリアな業界に変える!」をモットーに、2016年6月、不動産投資家が集まって立ち上げた会社です。設立以降、不動産投資家による不動産投資家の為の投資コンサルティングサービスを複数展開すると共に、投資用物件の売買も行っています。宅地建物取引士、賃貸経営管理士、AFP認定者等、不動産から資産運用まであらゆる問題を解決する専門家が記事を監修、校閲しています。不動産を売りたい方、買いたい方、不動産にまつわる様々な疑問・問題を抱えている方へ役立つ情報をお届けします。

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