
定期借家契約とは、契約期間の満了によって賃貸借契約が終了する契約形態です。
借地借家法には普通借家契約と定期借家契約の2つが定められており、違いがよく分からないという人も多いのではないでしょうか?
両方とも中古一戸建てや中古マンションなどの賃貸物件において、貸し主と借り主の間で賃貸借契約を締結する際の契約方法ですが、選んだ契約形態によっては後悔する可能性があるので違いを把握する必要があります。
この記事では、定期借家契約と普通借家契約の違い、賃貸契約時の注意点、売却方法などについて解説します。
定期借家契約について知りたい人は参考にしてください。
目次
定期借家契約と普通借家契約の違い
住まいが空き家になったので賃貸住宅としての利用を検討している、資産運用の一環で賃貸マンションや賃貸アパートなどの賃貸経営を始めようとしている人もいると思います。
また、賃貸物件を相続したなど、さまざまな理由で賃貸物件と向き合う機会がやってくることがありますが、賃貸借契約の仕組みについて考えたことがあるという人は少ないのではないでしょうか?
賃貸借契約は大きく普通借家契約と定期借家契約の2種類あり、どちらの契約形態を選ぶかによって入居者とオーナーのどちらが優先されるかが大きく異なってくるので注意が必要です。
定期借家契約と普通借家契約の違いを詳しく説明していきます。
●定期借家契約
定期借家契約とは、契約期間の満了とともに賃貸借契約が終了する契約形態です。
契約は公正証書などの書面によって行われ、契約書とは別に期間満了による契約終了に関する書面を交付して説明しなければなりません。
契約期間は自由に設定できる、原則貸主からの途中解約は不可(200平方メートル未満の居住用住宅の場合はやむを得ない事由があれば解約申し入れが可能)、契約更新なしなどの特徴があります。
賃料の増減は特約に従う(増減できない旨を定めることも可能)、貸主は契約満了の6カ月前までに借主に契約終了を通知しなければならないなどの規定があるので内容をしっかり把握することが重要です。
●普通借家契約
普通借家契約とは、契約更新を前提とした契約形態です。
契約は口頭による方法でも可能ですが、トラブルを回避するために契約書を交わすことをおすすめします。
契約期間は1年以上で設定し、貸主からの中途解約は正当な事由がない限りは認められません。
※貸主からの中途解約に関する特約は契約書に定められる
正当事由がない限りは契約が更新される、特約がなくても貸主・借主は賃料の増減を請求できるという特徴があります。
定期借家契約と普通借家契約は似て非なるものなので双方の違いをしっかり把握しておきましょう。
定期借家契約を締結する際の注意点
定期借家契約は契約期間を長期に設定することにより退去のリスクを少しは軽減できると思っている人も多いかもしれませんが、必ずしもそうとは言い切れません。
その理由は、借主からの途中解約が認められるケースが多いためです。
定期借家契約を締結する際の注意点として、以下の3つが挙げられます。
・解約権留保特約による解約
・中途解約権による解約
・違約金を支払うことによる解約も可能
それぞれの注意点を詳しく説明していきます。
●解約権留保特約による解約
解約権留保特約とは、中途解約を認める特約のことです。
普通借家契約と定期借家契約の両方に記載できます。
解約条件が契約書に既に記載されているため、特約を利用して借家契約を解約する場合は、賃借人・賃貸人ともに正当事由は不要とされています。
●中途解約権による解約
解約権留保特約が契約書に盛り込まれていない場合でも、貸主・借主は途中解約が可能です。
しかし、どのような理由でも途中解約が認められるというわけではありません。
借主の解約条件は緩く設定されている一方、貸主の解約条件は限られており、貸主が不利という点は普通借家契約とあまり変わりません。
いくら定期借家契約を締結していても期間内に解約されるリスクを伴うという点に注意してください。
中途解約権を行使できるのは、以下の3つの条件を満たしている場合のみです。
・居住目的で使用するケース
・床面積が200平方メートル未満のケース
・やむを得ない自由で使用が困難なケース
・居住目的で使用するケース
事業目的での使用(事業用の店舗の建設)の場合は中途解約できません。
しかし、居住目的で使用している場合は中途解約が可能です。
店舗併用(兼用)住宅の場合にも中途解約を行使可能なので覚えておきましょう。
・床面積が200平方メートル未満のケース
居住目的である以外に床面積が200平方メートル未満という条件を満たす必要があります。
200平方メートル以上の居住用建物は、中途解約権による解約不可となっています。
また、店舗併用(兼用)住宅の場合は、住居部分だけでなく、店舗も含めて200平方メートル未満の条件を満たさなくてはならないという点に注意が必要です。
・やむを得ない事情で使用が困難なケース
途中解約には病気を患った、遠方への転勤が決まったなどのやむを得ない事由が必要です。
事情が認められるかどうかの具体的な事例は明示されていないため、一概にどのような理由であれば途中解約が必ず認められるとは言い切れません。
貸主、弁護士、裁判所の判断に委ねられるものであることを理解しておきましょう。
●違約金を支払うことによる解約も可能
上記2つのケースに該当していない場合でも、違約金を支払えば途中解約できます。
例えば、残存期間5カ月の場合、5カ月分の家賃を支払えば途中解約が認められます。
その理由は、貸主にとっては残存期間の家賃を受け取れるだけでなく、退去後に貸し出せば家賃収入を得られるので損をしないためです。
貸主にとっては違約金を支払うことによる解約では損をしませんが、それ以外の解約は損をする可能性が高い点に注意が必要です。
定期借家契約の不動産の売却方法
定期借家契約を締結中の不動産を売却できるか気になっている人も多いと思います。
定期借家契約を締結している不動産であっても、一般的な不動産売却と同様に販売活動に取り掛かることが可能です。
定期借家契約の不動産の売却方法として、以下の2つが挙げられます。
・一般的な不動産と同様に仲介で売却する
・不動産買取業者に買い取りを依頼する
それぞれの売却方法について詳しく解説していきます。
●一般的な不動産と同様に仲介で売却する
定期借家契約を設定している不動産も通常通り売却できますが、購入しても買い手は自由に不動産を使用できるわけではないので、購入するメリットはほとんどありません。
購入希望者が業者や投資家に限られるので、安く買いたたかれたり、買主が見つからなかったりする点に注意してください。
●不動産買取業者に買い取りを依頼する
不動産会社に仲介を依頼する以外にも不動産買取業者に買い取ってもらうという方法があります。
業者と売主の双方が契約内容に合意すれば契約が成立します。
そのため、現金化を急いでいる人にはおすすめですが、買取価格が相場よりも安くなりがちなので注意が必要です。
そこでおすすめするのが「ソクガイ.jp」です。
ソクガイ.jpは買取価格が相場と比べて安くなりがちな不動産買取において、相場に近い買取価格を実現しています。
定期借家契約を設定している不動産の売却に困っている人は一度相談してみてはいかがでしょうか?
あなたの物件、売却可能かもしれません
定期借家契約でも解約可能
定期借家契約であれば期間満了までは契約が保証されていると思っている人もいるかもしれませんが、条件に該当した場合は借主からの途中解約が認められるため、普通借家契約と大きく変わりません。
そのため、途中解約を防ぐために定期借家契約を締結するというのは契約の目的が違っていると言えます。
定期借家契約は、期間満了とともに契約が終了する契約形態なので、将来的に土地を使用することが明確な場合に利用するものです。
普通借家契約と定期借家契約の違いをよく理解した上で選択しましょう。
また、定期借家契約の設定されている不動産の売却を検討している人は、媒介による売却だけでなく、買い取りによる売却も視野に入れましょう。
「不動産投資の業界を誰もが挑戦できるクリアな業界に変える!」をモットーに、2016年6月、不動産投資家が集まって立ち上げた会社です。設立以降、不動産投資家による不動産投資家の為の投資コンサルティングサービスを複数展開すると共に、投資用物件の売買も行っています。宅地建物取引士、賃貸経営管理士、AFP認定者等、不動産から資産運用まであらゆる問題を解決する専門家が記事を監修、校閲しています。不動産を売りたい方、買いたい方、不動産にまつわる様々な疑問・問題を抱えている方へ役立つ情報をお届けします。