
相続、生前贈与、離婚、不動産売買などのさまざまな理由から土地や建物といった不動産の所有権を取得する機会があります。
不動産の所有権を取得すると、名義変更登記(相続登記・所有権移転登記)という登記手続きを進めていくことになりますが、名義変更にはいくらかかるのでしょうか?
この記事では、土地の名義変更にかかる費用、名義変更の際に押さえておくべきポイント、家族名義の土地を売却する方法について解説します。
名義変更手続きを行おうとしている人は参考にしてください。
目次
土地の名義変更にかかる費用
相続が発生した場合、相続人同士で遺産分割協議(遺産分割協議書の作成)を経て財産分与を行う、相続税を納める必要があります。
また、生前贈与を行う場合、贈与税を納付する必要があるといったように、税金やその他の手続きで頭が一杯という人も多いと思います。
しかし、相続や贈与、不動産売却(売買契約の締結)、夫婦の離婚などにより土地の所有権移転が発生した場合、名義変更手続きを行わなくてはならないということを忘れてはなりません。
その理由は、名義変更手続きを行わなければ第三者が土地の所有者が誰なのか分からないため、後でトラブルに発展する可能性があるからです。
名義変更手続きは無料というわけではなく、以下のような費用がかかります。
・登録免許税
・必要書類の取得にかかる費用
・司法書士報酬
それぞれの費用を詳しく説明していきます。
●登録免許税
登録免許税とは、法務局(登記所)で登記申請書の提出といった土地の名義変更(登記申請)を行う際にかかる税金です。
登録免許税の計算方法は固定資産評価証明書に記載されている「固定資産税評価額×税率」です。
名義変更の目的によって以下のように適用される税率が異なることが注意点として挙げられます。
・相続:1,000分の4(0.4%)
・贈与:1,000分の20(2%)
・離婚:1,000分の20(2%)
・売買:1,000分の20(2%)
上記はあくまでも本則税率となっており軽減税率が適用される可能性もあるので、事前に確認することをおすすめします。
●必要書類の取得にかかる費用
名義変更手続きを進める際の必要書類の準備にも費用がかかります。
名義変更で必要な書類は全て同じではなく、目的によって必要書類が変わるという点に注意してください。
主な必要書類は以下の通りです。
・戸籍謄本
・除籍謄本
・改製原戸籍
・戸籍の附票
・住民票
・住民票除票
・印鑑証明書
・登記簿謄本(全部事項証明書)
・固定資産税評価証明書
住民票、固定資産評価証明書、印鑑証明書、戸籍の附票は300円、登記簿謄本は600円など、書類によって発行手数料が異なります。
また、自治体によって発行手数料が多少異なる場合もあるので注意が必要です。
●司法書士報酬
法務局は原則平日しか受け付けていません。そのため、名義変更手続きを行うには、会社を休むまたは早退することになります。
また、書類に不備があった場合、書類の再提出を求められるため、何かと手間と時間がかかることにより仕事に支障が生じる可能性も。
司法書士事務所に連絡して登記の専門家である司法書士に依頼した場合は、必要書類の手配から登記手続きまで全てを代わりに行ってくれるので手間を軽減できます。
しかし、自分で名義変更手続きを行う場合とは異なり、報酬を支払わなくてはならない点に要注意です。
依頼する司法書士により報酬設定は異なりますが、おおよそ10万円の報酬が発生するということを想定しておきましょう。
土地の名義変更で押さえておくべきポイント
土地の名義変更は人生で何度も経験するものではありません。
初めて名義変更をする人がほとんどで、土地の名義変更をどのように進めていくのか不安に感じている人も多いと思います。
名義変更で失敗を回避するためには、ポイントを事前に把握した上で手続きに臨むことが重要です。
土地の名義変更で押さえておくべきポイントとして、以下の3つが挙げられます。
・土地の名義変更には時間がかかる
・支払い方法は原則収入印紙
・相続前に売却するのも選択肢の1つ
それぞれのポイントを詳しく紹介していきます。
●土地の名義変更には時間がかかる
近くに役所がある場合でも、土地の名義変更手続きが完了するまでに2週間程度の時間がかかります。
近くに役所がないケースでは、書類を郵送で取り寄せることになるため、4週間程度かかることも。
また、法務局(登記所)に書類を持ち込んだ場合、その場ですぐに手続きが完了すると思っている人も多いかもしれませんが、すぐに手続きが完了するわけではありません。
持ち込んでから審査完了までさらに1~2週間程度かかるということを理解しておきましょう。
●支払い方法は原則収入印紙
登録免許税の納付は通常収入印紙で行います。収入印紙は法務局または郵便局などで購入します。
収入印紙はどこでも手に入るというものではなく、購入場所が限られているので注意が必要です。
名義変更手続きはオンライン申請も可能ですが、オンライン申請の場合には収入印紙ではなく、Pay-easy(ペイジー)にて納付することになります。
●相続前に売却するのも選択肢の1つ
相続による名義変更手続きの場合には、相続前に売却すれば名義変更手続きが不要です。
相続後の名義変更手続きにかかる手間と時間、費用を軽減できます。
不動産の相続は遺言書で誰が相続するのかを指定していない限り、トラブルに発展する可能性が高い遺産です。
しかし、売却によって現金化すれば法定相続割合に応じた売却を容易に行えるため、未然にトラブルを回避できるでしょう。
相続前の不動産の売却を検討している人には「ソクガイ.jp」に相談することをおすすめします。
ソクガイ.jpは訳あり物件の買い取りにも対応している不動産コンサルティング会社で、買取価格が市場価格(周辺相場)よりも低くなりがちな不動産買取において、相場に近い買取価格を実現しています。
少しでも高く、早く売却したいと考えている人は一度問い合わせてみてはいかがでしょうか?
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家族名義の土地を売却する方法
相続前に不動産を売却したいと考えている人の中には、家族名義の土地を他の人が売却できないのか気になっている人もいると思います。
家族名義の土地を売却する方法として、以下の2つが挙げられます。
・代理人として土地を売却する
・成年後見制度を利用する
それぞれの売却方法について詳しく解説していきます。
●代理人として土地を売却する
まずは代理人として土地を売却するという方法です。代理人として土地の売却を進めるには、名義人に土地の売却意思があることを証明するために委任状と印鑑証明を用意する必要があります。
代理人として土地を売却する場合、直接本人が立ち会わないことに買主(買い主)は疑問を抱くため、信頼してもらいにくいというデメリットが挙げられます。
信頼度を上げるために弁護士を代理人に指名するのも選択肢の1つと言えるでしょう。
●成年後見制度を利用する
土地の所有者が認知症などによって判断能力を失った場合は、代理人を指名できなくなります。
しかし、認知症を発症する前に成年後見制度を利用すれば、家族名義の土地でも売却が可能になります。
成年後見制度は「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類です。
法定後見制度とは、判断力が低下した人の法的権利を守るための制度で、家庭裁判所が後見人等を選任します。
本人の判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つに分類されます。
任意後見制度とは、判断能力が十分なうちに後見契約を交わす制度で、将来的に任意後見人となる人と直接公正証書による任意後見契約を締結するのが法定後見制度との違いです。
土地の名義変更手続きは司法書士に相談
土地の名義変更手続きは、自分自身で行うことも可能です。
しかし、書類の手配、法務局の手続きに手間と時間がかかります。
登記手続きの専門家である司法書士に依頼すれば、書類の手配から手続きまで全てを行ってくれるのでスムーズです。
手間と時間を省けることを考えると司法書士に依頼することをおすすめします。
また、相続の場合は事前に売却すれば名義変更手続きにかかる費用や手間などを省くことが可能です。
相続を間近に控えている人は、売却を視野に入れるのも選択肢の1つと言えるでしょう。
「不動産投資の業界を誰もが挑戦できるクリアな業界に変える!」をモットーに、2016年6月、不動産投資家が集まって立ち上げた会社です。設立以降、不動産投資家による不動産投資家の為の投資コンサルティングサービスを複数展開すると共に、投資用物件の売買も行っています。宅地建物取引士、賃貸経営管理士、AFP認定者等、不動産から資産運用まであらゆる問題を解決する専門家が記事を監修、校閲しています。不動産を売りたい方、買いたい方、不動産にまつわる様々な疑問・問題を抱えている方へ役立つ情報をお届けします。