2022年03月17日

相続放棄した家が倒壊|管理義務や責任はだれが負う?

家族が亡くなった場合、住んでいた家をどうするかが問題になります。

その家が、かなり老朽化していて、いつ倒壊してもおかしくない状態だったら、あまり相続したいとは思わないでしょう。

そのため、相続したら自分が管理しなくてはいけないから、という理由で相続放棄を選ぶ人もいるかもしれません。

それ自体は何ら問題ありませんが、仮に家族が住んでいた家が倒壊した場合、相続放棄をしたからと言ってなんら責任を負わなくて良くなるわけではないので注意しましょう。

相続放棄した家の管理責任の所在と、適切な対応についてわかりやすく解説します。

相続放棄した家が倒壊したら誰が責任を負う?

相続放棄の手続きをして、家族が住んでいた家を相続しなかった場合を前提に考えましょう。

どうやら、その家が地震などの災害や事故によって倒壊した場合でも「自分は相続放棄したから関係ない」とは言えなさそうです。

●相続放棄とは

倒壊しそうな家が遺産に含まれていた場合、相続放棄したいと考える人は多いかもしれません。

しかし、相続放棄とは「相続人が遺産の相続をすべて放棄する」ことを指します。

仮に、多額の預貯金や有価証券などのプラスの遺産があったとしても、相続放棄をすれば一切引き継ぐことはできません。

「預貯金や有価証券は欲しいけど、空き家はいらない」など、自分にとって都合が良いものだけを選べるわけではないので注意しましょう。

●新しい管理者が現れるまで管理義務が残る

倒壊しそうな家を引き継ぐのが嫌だからと相続放棄をしたところで、家の管理に関する責任がすぐになくなるわけではありません。

民法では、相続放棄した場合の財産の扱いについて、以下のように定められています。

民法 第940条
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

簡単にいうと、たとえ相続放棄をして空き家を引き継がなかったとしても、次の相続人が管理し始めるまでの間は、空き家の管理をしなくてはいけないという意味です。

「相続放棄したから、もう知らない」では済まされないので注意しましょう。

参考:「民法」(e-Gov法令検索)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

●管理義務が残っている間にトラブルに発展することも多い

空き家の状態が悪く、いつ倒壊してもおかしくない場合だった場合、さらに注意が必要です。

仮に、次の管理者が決まるまでの間に家が倒壊してしまった場合、責任は相続放棄をした相続人が負わなくてはいけません。

誰かが空き家の倒壊に巻き込まれてケガをした場合、損害賠償責任も負うことになります。

また、空き家が特定空き家に指定された場合、小規模住宅用地の特例の適用が受けられなくなるため、固定資産税の負担が最大6倍になるので気をつけましょう。

さらに、特定空き家に指定されていたことによる行政からの指導・勧告等を無視し続けていた場合、最終的には行政代執行によって強制的に解体される可能性も出てきます。

解体にかかった費用も結局負担しなくてはいけないので、要注意です。

相続放棄した家の管理責任を終了させる方法

相続する予定の財産に空き家が含まれていたという理由で相続放棄をしたとしても、そのままでは管理責任がなくなるわけではありません。

どうしても自分で対応するのが難しいという場合は、管理責任を終了させるためのしかるべき手続きを踏みましょう。

●相続財産管理人を選任する

たとえ、空き家が含まれていたとしても、誰かが相続してくれたのなら、自分が管理責任を負うことはありません。

しかし、自分にとって相続したくない空き家は、他の人にとっても扱いに困る空き家であるのは珍しくないでしょう。

そのため、全員が相続放棄する事態に至る可能性もゼロではありません。

仮に、全員が相続放棄した場合は、家庭裁判所に申し立てをし、相続財産管理人を専任してもらうのがしかるべき対応でしょう。

相続財産管理人とは、遺産を管理・清算する職務を行う人を指します。

なお、相続財産管理人が選任された場合、誰も相続しなかった空き家の権利は最終的に国庫に帰属する流れです。

そのため、相続放棄をした相続人が責任を負うことはありません。

●相続財産管理人の選任にかかる費用は相続人が負担する

なお、相続財産管理人は一般的に、弁護士・司法書士などの専門家から選任されます。

これらの専門家に仕事を依頼することになるため、相続財産から報酬を払わなくてはいけません。

また、状態が悪く、価値がない空き家が相続財産に含まれている場合は、予納金をあらかじめ支払う必要があります。

具体的な金額は裁判所が決定するため、個々のケースによって異なりますが、一般的には数十万円から100万円程度です。

ただし、業務が終了した時点で予納金が余っていた場合は還付が受けられます。

●相続放棄した家が遺産処分によって高額で売却できた場合はどうなる?

  • 相続放棄した空き家を、相続財産管理人が高額で売却した
  • 相続放棄した空き家の中から預貯金が発見された

など、空き家の処分にあたって利益が生じた場合でも、還付はされません。

すでに相続放棄をしている以上、利益を受け取る権利もないためです。

倒壊しそうな家の処理方法

いずれにしても、倒壊しそうな空き家をそのままにしておくことは、誰かにケガをさせるなどのトラブルの元凶になるため避けましょう。

ここでは、倒壊しそうな家の処理方法について解説します。

●修繕または解体してから売却する

倒壊しそうな家の状態にもよりますが、修繕または解体してから売却するのはごく一般的な方法です。

倒壊しそうな家であっても、修繕を実施して十分住むに耐える状態にまで戻せれば、買い手が見つかることだって考えられます。

しかし、空き家の状態が悪すぎて、修繕するにもお金がかかりすぎる場合は、いっそ建物を解体して更地にしてしまうほうが安上がりかつ早期に売却できるかもしれません。

このあたりは、どちらのほうが早期かつ負担が少ない形で売却できそうか、一度不動産会社に相談してみると良いでしょう。

●不動産買取業者に買い取りを依頼する

状態の悪い空き家であれば、不動産会社に買い取りを依頼するのも1つの手段です。

不動産会社に仲介を依頼して空き家を売却する場合、買い手が現れるまで時間がかかる可能性があります。

しかし、不動産買取業者に依頼して空き家を買い取ってもらう形であれば、双方が条件に合意でき次第、すぐにでも売却できるでしょう。

ただし、不動産買取業者の買取価格は市場価格よりも低くなりがちなので、金額面で折り合いが付けられるかがポイントになります。

なお、ソクガイ.jpであれば「状態の悪い空き家」など、一般的な不動産会社では対応が難しい訳あり物件の買い取りにも対応しています。

市場相場に近い買い取り価格を実現しているため「できる限り良い条件で買い取ってほしい」と思うなら、一度相談してみましょう。

空き家を相続してお困りならソクガイへご相談ください!

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放置しても良いことは何もないので早めに対処を

相続財産の中に、自分や家族や住む予定がない空き家が入っていた時、扱いに困るかもしれません。

しかし、相続を放棄したところで、倒壊して誰かにケガをさせた場合は、すでに相続財産管理人を選任していた場合を除き、責任を負わなくてはいけないのです。

放置していても何も良いことはないので、早急に相続財産管理人を選任して引き継いでもらうか、不動産買取業者への売却も含めて手放すことを考えてみましょう。

相続した空き家を弊社に売却された方のお声をご紹介!

株式会社NSアセットマネジメント

「不動産投資の業界を誰もが挑戦できるクリアな業界に変える!」をモットーに、2016年6月、不動産投資家が集まって立ち上げた会社です。設立以降、不動産投資家による不動産投資家の為の投資コンサルティングサービスを複数展開すると共に、投資用物件の売買も行っています。宅地建物取引士、賃貸経営管理士、AFP認定者等、不動産から資産運用まであらゆる問題を解決する専門家が記事を監修、校閲しています。不動産を売りたい方、買いたい方、不動産にまつわる様々な疑問・問題を抱えている方へ役立つ情報をお届けします。

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