
マイホームを購入するために住宅ローンを組んだり、家や土地などの不動産を売却・相続したりする際は、登記事項証明書が必要になります。
しかし、登記事項証明書がそもそも何か、どうやって手に入れるのかの基本的な部分がわからないと、実際に必要になった時に困ってしまうかもしれません。
慌てないためにも、登記事項証明書が何か、入手方法や必要になるシチュエーションを理解しておくと良いでしょう。
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目次
登記事項証明書はどこで取得する?
最初に、登記事項証明書を取得するにはどこで何をすれば良いのかを理解しましょう。
なお、従来は登記簿謄本が交付されましたが、昨今は登記事務をコンピュータで処理するようになったため、登記事項証明書が交付されます。
名前は違いますが、証明内容は同じです。
●法務局や出張所で取得する
登記事項証明書を取得する方法として一般的なのが、法務局や出張所で取得する方法です。
なお、法務局・地方法務局、その支局や出張所を表す言葉として「登記所」という言葉が使われることもあります。
法務局や出張所で登記事項証明書を取得する際は、窓口申請と郵送申請のいずれかの方法を用いることが一般的です。
・窓口申請を選択する
窓口申請とは、法務局や出張所に直接出向いて申請する方法です。
自宅や職場の近隣に法務局や出張所があるなら、直接担当者に指示を仰ぎながら手続きできます。
その日のうちに登記事項証明書を持って帰ることも可能です。
ただし、法務局も出張所も、原則として土日は開庁していません。
平日は働いている場合、休暇を取らないと難しいでしょう。
また、登記事項証明書を入手する際は、1通につき600円の手数料がかかります。
・郵送申請を選択する
郵送申請とは、法務局や出張所に申請書を郵送し、確認を経て登記事項証明書を返送してもらう方法です。
郵便物のやり取りだけで済むため、法務局や出張所の開庁時間を気にしなくて構いません。
ただし、窓口申請の場合と同様、登記事項証明書1通につき600円の手数料がかかります。
申請書は法務局のWebサイトからダウンロードして印刷するか、法務局の窓口で入手しましょう。
●オンラインで取得する
インターネット環境が整っているなら、登記・供託オンライン申請システムを利用するのも1つの手段です。
「かんたん証明書請求」といって、次の4ステップで手続きを済ませられます。
- 申請者情報を登録し、かんたん証明書請求にログインする
- 請求書様式に入力する
- 請求データを送信する
- 手数料を電子納付(インターネットバンキングもしくはATMを利用して支払い可能)する
平日21時まで利用できるので、時間を気にする必要もありません。
また、手数料は郵送受取で500円、窓口受取で480円と、法務局・出張所での取得に比べ、多少安くなっています。
ただし、初めて利用する際には利用者登録が必須です。
また、申請から発行まで数日から1週間程度かかるため、必要になる日時がわかっているなら、なるべく早めに手続きを済ませましょう。
登記事項証明書の種類
登記事項証明書と一口に言っても「何をどこまで書いてあるのか」によってさらに4種類に分けられます。
それぞれの登記事項証明書の違いをおさえましょう。
●全部事項証明書
全部事項証明書とは、ほぼすべての登記情報が記載されている登記事項証明書のことです。
過去から現在にいたるまで、すべての所有権の登録・移転などの権利情報が確認できます。
不動産会社や金融機関から「登記事項証明書を提出してください」と言われた場合、全部事項証明書を提出すればまず問題ないでしょう。
●現在事項証明書
現在事項証明書は、現在効力のある登記事項を記載した登記事項証明書のことです。
「この不動産の所有権は今、誰にあるのか」を確認したい場合は、現在事項証明書が役に立ちます。
なお、全部事項証明書はほぼすべての登記情報が記載されていて非常に便利ですが、ローンの完済情報なども記載されるので注意が必要です。
相手方に必要情報以外を知られたくないという場合は、現在事項証明書を使いましょう。
●一部事項証明書
一部事項証明書とは、登記事項の一部が記載されている証明書のことです。
特定の権利情報だけを確認するために使われると考えましょう。
たとえば、売ろうとしている不動産が分譲マンションの一室だった場合、マンションの権利者は複数人にのぼります。
このような状態で全部事項証明書を請求すると、書類が何十ページにもなってしまい不便です。
一部事項証明書であれば「自分に関係する部分」だけを取得できます。
●閉鎖事項証明書
閉鎖事項証明書とは、閉鎖した登記情報が記載されている証明書のことです。
全部事項証明書で得られない過去の情報を知りたい場合に用いられます。
なお、不動産登記における「閉鎖」の具体例としては、以下の事項が挙げられるので参考にしてください。
- 建物が解体された
- 複数の土地を合筆(まとめて1つにする)した
実際のところ、不動産の売買においては、閉鎖事項証明書の提出を求められることはあまりありません。
登記事項証明書が必要になるケース
不動産の取引において、登記事項が必要になる具体的なケースについても知っておきましょう。
●住宅ローンの契約
マイホームを購入の際に住宅ローンを組む場合、実際に融資を行う金融機関が、購入する不動産に対して抵当権を設定しなくてはいけません。
そして、設定の手続きを進めるにあたっては、法的な不動産の所有者はだれか、どのような権利が設定されているのかを確認する必要があります。
このため、登記事項証明書の提出が必須になると考えましょう。
なお、登記事項証明書は金融機関の担当者などの第三者が取得することも可能です。
このため、事前に自分たちで用意するのか、金融機関の担当者が用意するのかを確認しましょう。
●不動産の売却
不動産を売却する際は、登記事項証明書を購入希望者に提示しなくてはいけません。
「売ろうとしている不動産は、確かに自分のものです」という事実を証明することで、スムーズに売却が進められるためです。
この場合も、登記事項証明書の用意を自分たちで進めるのか、不動産会社に頼むのかを事前にすり合わせしましょう。
●住宅ローン控除の確定申告
マイホームを購入するために住宅ローンを組んだ場合、住宅ローン控除が受けられます。
その際、購入した翌年に確定申告を行う必要がありますが、手続きにあたっては登記事項証明書を提出しなくてはいけません。
そもそも、住宅ローン控除は住宅取得者の金利負担の軽減を図る趣旨の制度である以上、住宅の名義が取得者と異なっていては意味がないためです。
●不動産の相続
相続が発生し、亡くなった人=被相続人が所有していた不動産を相続する際にも、登記事項証明書が必要になります。
登記事項証明書を見れば、不動産にどのような権利が設定されているのか、名義は誰になっているのか確認が可能です。
また、不動産の名義変更手続き(相続登記)も行う場合も必須になります。
なお、相続登記を司法書士に依頼する場合は、代行で登記事項証明書も取得してくれるので、手数料を確認しましょう。
登記事項証明書の取得は計画的に
不動産の売却において、登記事項証明書は非常に重要な書類になります。
どのような書類なのか、どうやって手に入れるのかは、事前に必ず確認しましょう。
また、不動産売却においては、普段から実務に携わっていないとわからないことも多いため、不安に感じる人も多いかもしれません。
不動産会社の担当者とコミュニケーションを積極的にとり、最後までつつがなく進められるようにしましょう。
「不動産投資の業界を誰もが挑戦できるクリアな業界に変える!」をモットーに、2016年6月、不動産投資家が集まって立ち上げた会社です。設立以降、不動産投資家による不動産投資家の為の投資コンサルティングサービスを複数展開すると共に、投資用物件の売買も行っています。宅地建物取引士、賃貸経営管理士、AFP認定者等、不動産から資産運用まであらゆる問題を解決する専門家が記事を監修、校閲しています。不動産を売りたい方、買いたい方、不動産にまつわる様々な疑問・問題を抱えている方へ役立つ情報をお届けします。