2022年03月22日

亡くなった人の土地の名義変更は大変?流れとポイントを解説

亡くなった家族が所有していた土地を相続しても、現状、名義変更は義務ではありません。

しかし、2024年4月1日からは名義変更が義務化されます(※)。

つまり、相続の発生を知った日から3年以内に名義変更の必要が生じるのです。

期限を過ぎても名義変更しないと、10万円以下の過料(罰金)の対象となるため注意しましょう。

土地の名義変更に必要な手続きと、済まさないことによるデメリットを知っておくのをおすすめします。

※4月1日の施行日前に相続の開始があった場合にも適用されます(遡及適用)。

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土地の所有者が亡くなった場合に必要な手続き

土地の所有者が亡くなった場合に必要な手続きは、「遺言書の有無の確認」「登記事項証明書の取得」「必要書類の手配」「法務局への申請」の4つです。

①遺言書の有無の確認

最初に、亡くなった人=被相続人が生前に遺言書を作成していなかったかを確認しましょう。

相続税の税額を決める上でも重要な手がかりにもなります。

被相続人が生前使っていた机や本棚、書類ケース、カバンや上着などもくまなく調べてください。

なお、自宅などで自筆証書遺言(被相続人が自分で書いた遺言書)が見つかった場合は、家庭裁判所による検認が必要になるため、自分で封を切ってはいけません。

また、自宅から自筆証書遺言が見つからないケースも考えられます。

その際は、法務局に自筆証書遺言が保管されていないか、公証役場で作成した公正証書遺言がないかも併せて確認しましょう。

これでも遺言書が見つからないなら、最終的には相続人が全員で話し合い(遺産分割協議)を行い、分割方法を決めることになります。

②登記事項証明書の取得

被相続人の財産の中に土地が含まれていた場合は、登記事項証明書を取得しましょう。

登記事項証明書を見れば、不動産の権利関係や所有者が分かるのです。

また、被相続人が生前「これは自分の土地」と言ったとしても、実際は抵当権が設定されていたり、被相続人以外の人が所有者になっていたりすることもあります。

相続の手続きを進める障害になる問題点が生じていないかも、登記事項証明書を見れば一目瞭然です。

なお、登記事項説明書は法務局および法務局の出張所の窓口で申請する他、郵送・オンラインでも請求できます。

③必要書類の手配

亡くなった人の土地の名義変更をする際は、以下の書類が必要です。

状況によっては、これ以外の書類も必要になるので、適宜用意しましょう。

亡くなった人(被相続人)に関するもの
  • 出生から死亡までの連続した経緯の分かる戸籍謄本・除籍謄本等
  • 最後の住所地の分かる住民票の除票又は戸籍の附票
相続人に関するもの
  • 法定相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 相続する不動産の固定資産税の評価証明書
  • 相続する不動産の登記事項証明書

 

④法務局への申請

必要な書類が揃ったら、法務局へ申請しましょう。

窓口に出向くのはもちろん、郵送・オンラインでも可能です。

法務局の窓口に出向けば、職員のアドバイスを受けながらスピーディかつ正確に手続きが進められるでしょう。

ただし、法務局は平日の午前8時半から午後5時15分までしか開庁していません。

その上、土地がある場所が現在の居住地から離れている場合、最寄りの法務局まで出向くのはややハードルが高いので注意が必要です。

一方、郵送やオンラインでの申請の場合、自宅から手続きを済ませられるので手間がかかりません。

ただし、申請した内容に不備があると、再申請を求められます。

加えて、オンラインでの申請を行う場合、事前に電子証明書を取得しなくてはいけません。

亡くなった人の土地の名義変更手続きのポイント

大半の人にとって、相続人(亡くなった人)の土地の名義変更手続きは初めて取り組む作業になるでしょう。

全く勝手が分からないのも無理はありません。

いざというときに慌てないためにも、期限・かかる時間・費用などは知っておきましょう。

●名義変更手続きの期限

2024年4月1日からは、相続人が不動産の相続を知った日から3年以内に名義変更することが義務付けられるようになります。

参照:法務省「所有者不明土地関連法の施行期日について

正確には、次の2つの日のうち、いずれか遅い日から3年以内に名義変更を済ませなくてはいけません。

  • 施行日(2024年4月1日)
  • 自己のために相続開始があったことを知り、かつ不動産の所有権を取得したことを知った日

いずれにしても、名義変更が義務化されることがはっきりしている以上、手続きを済ませる前提で動きましょう。

●名義変更手続きにかかる時間

既に触れた通り、名義変更手続きを行う際は、出生から死亡までの連続した経緯の分かる戸籍謄本・除籍謄本等および最後の住所地の分かる住民票の除票又は戸籍の附票を揃える必要があります。

被相続人の本籍地が遠方にある場合は、複数の箇所から書類を取り寄せなくてはいけません。

実際に届くまでには時間がかかるのです。

加えて、相続人が複数人いた場合、遺産分割協議を行いますが、話し合いがまとまるまで時間が必要です。

加えて、名義変更手続きが完了するまでには、2~3週間は見積もった方が良いでしょう。

まとめると、事前の準備から完了まで、1ヵ月から2ヵ月程度はかかる計算です。

●名義変更手続きにかかる費用

一般的に、土地の名義変更手続きにあたっては、以下の費用がかかります。

必要書類の手配にかかる費用 各書類300円~700円程度、トータル3,000円程度
登録免許税 固定資産税評価額×0.4%
司法書士報酬 数万円~数十万円

時間がない場合は、土地の名義変更手続きを司法書士に依頼することも視野に入れましょう。

書類の手配や名義変更の手続きにかかる手間・時間が大幅に削減できます。

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名義変更手続きを行わない場合のデメリット

少なくとも2024年3月31日までは、死亡した人から相続した土地の名義変更を行うのは義務ではありません。

しかし、名義変更を行わないデメリットの大きさを理解しておきましょう。

●共有者の特定が困難になる

亡くなった人が所有していた土地を名義変更しないまま、実際は複数の相続人で共有していたとしましょう。

名義変更手続きを放置している間に、相続人のうちの1人が亡くなってしまうことだってあり得ます。

その場合、亡くなった相続人が所有していた共有部分については、また別の相続人が受け継ぐことになるのです。

1回ならともかく、何度も相続が繰り返されると、誰が不動産を共有しているのか特定するのが困難になります。

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●不動産を売却しにくくなる

土地などの不動産を複数の相続人で共有していた場合、売却する際も一苦労です。

不動産の全部を売却しようとする場合、共有者全員の合意が必要になります。

つまり、共有者が多ければ多いほど、全員の同意を得にくく、売れない状態が続くのです。

ただし、自分の持ち分に関しては他の相続人の同意がなくても売却できます。

共有持分の仲介を断る不動産会社もありますが、ソクガイ.jpでは不動産を共有している場合であっても、自分の持ち分のみを買い取ってもらうことが可能です。

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トラブル回避のためにも名義変更は早期に済ませよう

亡くなった人の土地の名義変更を放置したことで、共有者の特定が困難になったり、不動産が売却しにくくなったりと、さまざまなトラブルが報告されてきました。

いわば、2024年4月1日からの名義変更の義務化は、これらのトラブルへの対応策の一環とも言えるでしょう。

ほとんどの人にとって、土地の名義変更は初めて取り組む手続きになるはずですが、司法書士や法務局職員の助けを借りながらであれば、決して不可能ではありません。

株式会社NSアセットマネジメント

「不動産投資の業界を誰もが挑戦できるクリアな業界に変える!」をモットーに、2016年6月、不動産投資家が集まって立ち上げた会社です。設立以降、不動産投資家による不動産投資家の為の投資コンサルティングサービスを複数展開すると共に、投資用物件の売買も行っています。宅地建物取引士、賃貸経営管理士、AFP認定者等、不動産から資産運用まであらゆる問題を解決する専門家が記事を監修、校閲しています。不動産を売りたい方、買いたい方、不動産にまつわる様々な疑問・問題を抱えている方へ役立つ情報をお届けします。

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