
土地の売却を考える際には、登記上の地目がどうなっているかにも気を配りましょう。
地目が違うことで売却時に考慮しなくてはいけない法律や、受けられる税制の優遇が全く異なってくるためです。
地目をよく確認しないで土地の売却を始めたのが原因で、契約解除や損害賠償請求などの重大なトラブルに結びつく恐れもあります。
特に注意が必要なのは、雑種地を売却する場合の扱いです。
どんな点に注意すべきか、地目に関する基本的な知識とともに理解しましょう。
目次
雑種地とは
最初に、雑種地とはどんな土地を指すのか、理解しておきましょう。
●23種の分類に該当しない土地
土地には地目と言って、以下の23種類の用途が定められています。
(登記)地目 | 田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、炭鉱地、池沼、山林(森林)、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園 |
そして、この23種類のどれにも該当しない土地のことを雑種地というのです。
具体例としては駐車場、ゴルフ場、飛行場、野球場などが挙げられます。
ただし、駐車場の場合は「自宅に自家用車を停めるために作った」「店舗に顧客用の駐車場を併設した」などの事情により、主たる用途に応じた地目を引き継ぐ(この場合は宅地)こともあるなど、必ずしも雑種地とはならないケースもあるのです。
なお、使用状況や環境の変化により、地目は変更することができます。
その際、土地がある場所を管轄する法務局に対して地目変更登記を行う流れです。
●地目による影響
土地の売買において地目を確認しなくてはいけない理由の1つに「さまざまな面に影響が及ぶから」が挙げられます。
不動産登記簿に地目を記載するのは、土地の現況や利用目的をわかるようにするためです。
実際に売買価格を決めるときの重要な参考になります。
また、土地を所有している間は固定資産税を、相続したときは相続税を納付しなくてはいけませんが、このように税金を納付する際にも地目が重要になってくるのです。
なお、固定資産の額を計算する際には、課税地目を使います。
課税地目 | 宅地、田、畑、原野、牧場、池沼、鉱泉地、山林、雑種地 |
所有している土地がこの9種類のうちどれに属するかで、固定資産税上の扱いも変わってくるのです。
例えば、小規模住宅用地の減額の特例といった固定資産税の減額措置は、土地の課税地目が宅地でないと適用されません。
地目の確認方法
登記地目、課税地目を問わず、自分が所有している土地の地目は確認しておいたほうが良いでしょう。
ここでは、地目を確認する方法について解説します。
●目視で確認する
実際に土地がある場所まで出向き、目視で地目を確認する方法です。
現地までの交通費以外、費用はほとんどかかりません。
隣地との境界や関係性、接道状況を見れば、おおよその地目は判断できます。
ただし、隣地との境界や関係性、接道状況を見ただけで必ず正確な地目が分かるとは限らないので、あくまで簡易的な方法と考えておきましょう。
●登記記録を確認する
登記地目に関するより正確な情報を手に入れたいなら、登記記録を確認しましょう。
土地の登記地目は、登記事項証明書や登記事項要約所に記載されているので、取得すれば簡単に確認できます。
なお、登記事項証明書や登記事項要約書は、法務局の窓口に出向くか、オンラインで手続きをすれば入手可能です。
手数料を表にまとめました。
登記事項証明書 | 書面請求:600円 オンライン請求・送付:500円 オンライン請求・窓口交付:480円 |
登記事項要約書 | 450円 |
●固定資産税の納税通知書を確認する
一方、正確な課税地目を確認したい場合は、固定資産税の納付通知書を確認しましょう。
固定資産税の納税通知書には、市区町村が確認した土地の地目が記載されています。
通知書には「土地」という項目がありますが、そこを見ればわかるはずです。
雑種地を売買する際に押さえておくべきポイント
雑種地を売買する際には、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
詳しく解説しましょう。
●地目を確認してから売却する
雑種地も含め、土地を売却する際には登記地目、課税地目を確認してから売却をするようにしましょう。
たとえば、自分で現況を見て宅地だと思って売却を進めた土地であっても、登記地目は畑のままだった場合を考えてみます。
「登記地目も宅地だろう」と考えて買主が購入しようとした場合、買主は以下のデメリットを被ることになるのです。
- 現況と地目が一致しないため地目変更登記をしないといけない
- 「地目が畑になっているから」という理由で、住宅ローンが組めなかった
このように、地目を確認せずに売却した場合、買主は売主の契約不適合責任を問うてくるでしょう。
地目の確認は登記簿謄本で!
売買契約書に記載された内容と引き渡したものに乖離がある以上、無理もありません。
損害賠償請求や契約解除などの重大なトラブルに発展する可能性もあるので、注意しましょう。
面倒かもしれませんが、必ず事前に登記簿謄本や固定資産税納付通知書などの公的な書類で地目を確認し、その上で話を進めるようにしてください。
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●地目を変更して売却する
トラブルを回避するためには、地目を変更してから売却を進めるのも1つの手段です。
実は、決して地目の変更手続きは複雑ではありません。
土地の登記地目を登記簿で確認してから現地調査をし、宅地として利用可能かどうかを調べましょう。
その上で申請書類を作成し、法務局で手続きをします。
ただし、ある程度専門的知識がないとスムーズにいかないことも考えられるため、スピーディーに済ませたい場合は、不動産会社などの専門家に相談するのをおすすめします。
●不動産買取業者に買い取りを依頼する
雑種地を売却したい場合は、不動産会社に仲介を依頼する以外にも、不動産買取業者に買い取りを依頼するのも1つの手段です。
仲介を依頼した場合、欲しいという人が現れるまで時間がかかることもありますが、不動産買取業者に買い取りを依頼する場合は双方が条件に合意さえすればその時点で契約が成立します。
つまり、雑種地が売れるまでの時間がかかりませんが、その分買い取り価格は市場価格より安くなりがちなのが実情です。
ソクガイ.jpでも雑種地をはじめとした不動産の買い取りを行っています。
なるべく市場価格に近い買い取り価格で、早期の契約成立を目指しているので、雑種地の売却に悩んでいる場合は一度相談してみましょう。
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地目は必ず確認を。必要に応じて変更もあり
雑種地を売却する場合、地目があいまいなままにしておくと、損害賠償責任や契約解除など思いがけないトラブルに発展するおそれもあります。
事前に登記簿や固定資産税納税通知書を確認したり、不動産会社に相談して地目の変更をしたりなど、できることは済ませておきましょう。
1つ1つの手続きは決して難しいものではないので、手間を惜しまないのが大事です。
「不動産投資の業界を誰もが挑戦できるクリアな業界に変える!」をモットーに、2016年6月、不動産投資家が集まって立ち上げた会社です。設立以降、不動産投資家による不動産投資家の為の投資コンサルティングサービスを複数展開すると共に、投資用物件の売買も行っています。宅地建物取引士、賃貸経営管理士、AFP認定者等、不動産から資産運用まであらゆる問題を解決する専門家が記事を監修、校閲しています。不動産を売りたい方、買いたい方、不動産にまつわる様々な疑問・問題を抱えている方へ役立つ情報をお届けします。