
居抜き物件とは、前に入居していたテナントが使っていた厨房機器、電気・ガス・水道などの設備をそのまま使える物件を指します。
買主のニーズと合致すれば早期かつ良い条件で売却できる一方、合致しなければ売却が難航するかもしれません。
できる限り早く売却するには、やはり工夫を凝らす必要があるでしょう。
ここでは、居抜き物件の売却について、方法やメリット・デメリット、取り入れるべきコツを解説します。
居抜き物件をお持ちですか?
目次
居抜き物件の売却方法
一口に居抜き物件の売却といっても、個々のケースにより細かい扱いは異なります。
居抜き物件の売却を検討する際に、最低限押さえておくべきポイントを解説しましょう。
●居抜き物件の売却とは
居抜き物件の売却とは「店舗として使われていた物件を売却する際、内装や設備をそのまま売買すること」です。
たとえば、ケーキ屋として使われていた物件であれば、冷蔵ケースやオーブンなどの設備も残した上で売却すると考えましょう。
なお、実際に売買する際は、居抜き物件を取り扱う不動産会社を通すのが一般的になっています。
●居抜き物件は2種類の売却方法がある
居抜き物件を売却する際の流れは、どのような方法を取るかによっても異なります。
代表的な方法として「造作譲渡付」と「現状引き渡し」について解説しましょう。
まず、造作条件付とは、店舗の借主(売主)と買主が直接やり取りをする方法を指します。
設備や厨房もそのまま引き渡すことがほとんどと考えましょう。
「物件を手に入れたらできるかぎり早く開業したい」という買主に人気の方法です。
ただし、この方法だと「設備や厨房を、買主が売主から買い取る」ことになります。
そのため、買主が造作価格(買い取る=造作譲渡をするための費用)を負担しなくてはいけない点に注意が必要です。
一方、現状引き渡しとは、オーナーと前の賃貸人との間で契約が終了した後に店舗を取引する手法を指します。
造作条件付のように、買主が造作価格を負担することはありません。
そのため、初期費用も抑えられるというメリットがあります。
●居抜き売却の注意点
居抜き物件を売却する際は、使用していた物品の扱いにも気をつけましょう。
まず、契約を満了していないレンタル品があった場合は、残債や解約手数料を支払うか、契約そのものを買主に引き継いでもらうかで対応します。
このあたりは、買主とも相談して方針をきめましょう。
また、居抜き物件を引き渡すまでは、物件内にある物品の管理は、売主の責任のもと行う義務が生じます。
仮に、物品に不具合があり、買主が営業できない事態が生じた場合は、損害賠償責任を問われる可能性もあるのです。
事前に残す予定の物品については確認をし、不具合があった場合は買主と相談して扱いを決めましょう。
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居抜き物件を売却するメリット・デメリットとは
居抜き物件を売却することには、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。具体的に掘り下げてみましょう 。
●居抜きのまま売却するメリット
大きなメリットとしては「売却コストを削減できる」ことが挙げられます。
本来、建物を売却する際は、建物の構造体以外を全て解体し、床・壁・天井・配線・給排水器・給排気設備などを入居時の状態に戻す工事(スケルトン工事)が必要となります。
スケルトン工事には多額の費用がかかるため、居抜きのまま売却すれば大幅に売却コストが節約できるのがメリットです。
また、設備等の処分コストや解約予告期間の賃料なども抑えられるため、さらなる売却コストの節約にもつながるでしょう。
その他のメリットとしては、撤去工事をする必要がないため、売却ぎりぎりまで営業できることや、買主が設備を新たに揃える必要がなくなることがあげられます。
開店にあたってのコストを抑えるため、あえて居抜き物件に照準を絞って探す買主もいるくらいです。
●居抜きのまま売却するデメリット
一方、居抜きのまま売却することにはデメリットもあります。
端的に言うと、居抜きであることが不利に働くケースもあるのです。
具体的には以下のケースが考えられます。
- 内装が店舗のイメージに合わない
- 建物や設備が古かった
このような場合は、なかなか買主が現れないかもしれません。
結局、購入した後にリノベーションやリフォームをしたり、設備を買い替えたりしないといけなくなるためです。
また、居抜きのまま売却すれば、退去期限ギリギリまで営業することができる点が、大きなメリットであるのは確かです。
ただし、もともと経営状態があまり良くなかった場合は、かえって赤字が拡大するおそれがあるため、デメリットにもなりえます。
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居抜き物件を売却するときのポイント
出来る限り早く、自分にとって納得がいく条件で居抜き物件を売却するためには、以下のポイントを心得るようにしましょう。
●同業者へ売却する
居抜き物件を売却する場合、出来る限り同業者へ売却する前提で動いたほうが、話もまとまりやすくなるでしょう。
使用する設備が同じ、もしくは似通っていることがその理由としてあげられます。
たとえば、ラーメン屋を営んでいたのであれば、売却先もラーメン屋を開業しようとする人に定めた方が良いでしょう 。
●解約予告は買手が見つかった後に行う
解約予告は買主が見つかった後に行いましょう。
買主が見つかる前に解約予告を行ってしまうと売却活動の期間は十分に取れない可能性があるためです。
売却活動が不十分だと良い条件で売却することができず、結局退去日ギリギリになって格安で譲渡する羽目になることも考えられます。
●実績のある居抜き売却業者を選ぶ
居抜き物件を売却する際は、実績のある業者に頼むようにしましょう。
そもそも、居抜き物件の売買に対応していない不動産会社もあります。
また、居抜き物件の売買に対応している不動産会社であっても、蓋を開けてみたら売却成功率が低かったというのでは意味がありません。
居抜き物件の売却成功率は事前に確認したほうが無難です。
そして、居抜き物件を売却する際は複数の不動産会社に相談するようにしましょう。
査定額を出してもらい、比較検討した上でどの不動産会社に依頼するか決めるのをおすすめします。
加えて、査定額を見ることで「この物件はだいたいどのくらいの価格で売れるのか」という相場の把握もできるはずです 。
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居抜き物件の売却はプロと二人三脚で
居抜き物件は通常の物件とは違い、売主と買主との間で条件の折り合いが付けられないと、なかなか売却しづらいかもしれません。
また、買主が見つかっていないのに解約予告を行ってしまうと、退去期限ギリギリまで売却できず、不本意な金額で手放さなくてはいけないことだって考えられます。
漫然と取り組んでも意味がないので、居抜き物件の売却に強い不動産会社に依頼し、ここで紹介したコツも押さえながら担当者と二人三脚で売却活動をしていきましょう。
なかなか売れない場合は、柔軟に方針を変更することも大事です。
「不動産投資の業界を誰もが挑戦できるクリアな業界に変える!」をモットーに、2016年6月、不動産投資家が集まって立ち上げた会社です。設立以降、不動産投資家による不動産投資家の為の投資コンサルティングサービスを複数展開すると共に、投資用物件の売買も行っています。宅地建物取引士、賃貸経営管理士、AFP認定者等、不動産から資産運用まであらゆる問題を解決する専門家が記事を監修、校閲しています。不動産を売りたい方、買いたい方、不動産にまつわる様々な疑問・問題を抱えている方へ役立つ情報をお届けします。