2021年09月21日

譲渡損失とは?売却時・買い替え時に使える損益通算・繰越控除の特例

譲渡損失とは、土地、戸建て住宅やマンションといった物件の売却で譲渡所得(売却額から購入費用、諸経費を引いたもの)がマイナスになった状態(売却損が発生している状態)です。

不動産売却では譲渡損失が生じることは珍しくありませんが、どのような影響を与えるのか気になっている人も多いのではないでしょうか?

この記事では、そもそも譲渡所得とは何なのか、譲渡損失が生じた場合に利用できる優遇制度について解説します。譲渡損失について気になっている人は参考にしてください。

そもそも譲渡所得とは

上場株式等の売買では、売却時の価格から購入時の価格と手数料を差し引いて利益が生じた場合に所得税や住民税といった税金が課税されます。

土地や居住用財産などの不動産を売却した場合にも、譲渡所得がプラスになった場合は譲渡所得税が課されますが、譲渡所得とはそもそも何なのでしょうか?

譲渡所得とは何なのか、譲渡所得税の仕組みについて詳しく説明していきます。

●譲渡所得とは?

譲渡所得とは、不動産の売却によって得られた所得のことで、「収入金額-取得費-譲渡費用」という計算方法によって算出できます。

収入金額は売却代金、取得費は購入時にかかった費用(土地の購入費用や建物の建築費用、仲介手数料、印紙税、登録免許税等)、譲渡費用は売却時にかかった費用(仲介手数料や解体費用、印紙税、司法書士等)を意味します。

●譲渡所得がプラスの場合は譲渡所得税が課される

譲渡所得がプラスになった場合は所得税、復興特別所得税、住民税等を支払う必要があります。

通常この3つの税金を合わせたものを譲渡所得税と呼びます。

譲渡所得がマイナスになり譲渡損失が出た場合は税金が課されません。

売却した資産の所有期間によって短期譲渡所得税、長期譲渡所得税と適用される税率が変わります。

・短期譲渡所得

資産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合「短期譲渡所得」と見なされます。

税率は「所得税30.63%(復興特別所得税2.1%を含む)+住民税9%の計39.63%」です。

長期譲渡所得と比較した場合、税負担が大きいため、売却を検討しているのであれば長期譲渡所得の条件を満たしてから売却することをおすすめします。

・長期譲渡所得

資産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年超の場合「長期譲渡所得」と見なされます。

税率は「所得税15.315%(復興特別所得税2.1%を含む)+住民税5%で計20.315%」です。

長期譲渡所得の要件を満たすには、売却した年の1月1日時点で5年を超えている必要があります。

例えば、2016年5月1日に取得した不動産を2021年6月1日に売却すると、長期譲渡所得の適用要件を満たしているように思えますが、1月1日時点ではまだ5年を経過していません。

2022年1月1日以降に売却してようやく要件を満たすという点に注意が必要です。

不動産の譲渡時(売却時)に利用できる譲渡損失に関する優遇制度

不動産売却で譲渡損失が発生した場合、給与所得といった他の所得と相殺(損益通算)することは原則できません。

しかし、経年劣化が進行する居住用財産は、資産価値の下落によって譲渡損失が発生する可能性が高いことを考えると、何も優遇されないと居住用財産を取得する人が減ってしまいます。

そこで、他の資産を売却した際の譲渡所得等と内部通算することは可能です。

一定条件を満たせば、譲渡損失を損益通算できます。

この仕組みを「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および損失の繰越控除の特例」と呼びます。

特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および損失の繰り越し控除の特例を詳しく紹介していきます。

●不動産の売却時に譲渡損失を損益通算するための条件

譲渡損失を損益通算するための適用条件として、主に以下の2つが挙げられます。

・売却した年の1月1日時点において所有期間が5年を超えた居住用財産であること
・特例を適用する年の年末時点で返済期間10年以上の住宅ローンの残高があること

また、損益通算できる金額は、1と2のいずれか少ない金額となっています。

1.売却した居住用財産の譲渡損失額
2.住宅ローン残高から売却代金を控除した残額

●相殺しきれない場合は繰越控除も可能

損失を1年で相殺しきれないケースでは、前年分の差額を翌年以降も控除(売った年の翌年から最長3年間)することが可能です。

最初の年も含めると最長4年間、所得税額・住民税額が控除されます。

参考:「No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3390.htm

不動産の買い替え時に利用できる譲渡損失に関する優遇制度

優遇制度は譲渡時(売却時)だけでなく、不動産の買い替え時に利用できるものもあります。

買い替え時に利用できる譲渡損失に関する優遇制度について詳しく解説していきます。

●買い替えによる譲渡損失は損益通算・繰越控除が可能

マイホームを買い替える際に旧宅の売却で譲渡損失が発生した場合は損益通算が可能です。

控除しきれなかった場合は譲渡時(売却時)と同様、売却した年の翌年以降、最長3年間にわたり繰越控除できます。

●適用条件が複雑なので注意が必要

住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却しなければ、優遇制度は利用できません。

住まなくなるにあたり家屋を取り壊した場合には、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているという条件を満たす必要があります。

また、敷地の譲渡契約が家屋を取り壊した日から1年以内に締結するかつ住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却しなければなりません。

上記の条件を満たしていても、家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日までその敷地を貸駐車場や資材置き場など他の用に供した、敷地面積が500平方メートルを超える部分には適用できないといった複雑な適用条件があるので不動産会社や税理士などの専門家に事前に相談しましょう。

参考:「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3370.htm

確定申告を忘れないように注意

譲渡所得がプラスになった場合は確定申告が必要ですが、マイナス(譲渡損失)になった場合は確定申告を行う必要はありません。

しかし、確定申告を行わなければ各種優遇制度を利用できません。

少しでも制度を利用することによる恩恵(還付)を受けたいのであれば、必ず確定申告を行いましょう。

サラリーマンで収入源が給与所得のみの人の場合、源泉徴収、年末調整により確定申告が不要なので確定申告の仕方が分からないという人も多いと思います。

書類の準備や申告書に不備があった場合の再提出には、手間と時間がかかります。

確実に確定申告を行うには税理士に相談することをおすすめします。

また、不動産売却を検討しているという人には「ソクガイ.jp」がおすすめです。

ソクガイ.jpは訳あり物件の買い取りにも対応している不動産コンサルティング会社です。

買取価格が市場相場より低くなりがちな不動産買取において、相場に近い買取価格を実現しています。

不動産を少しでも高く・早く売却したいと考えている人は、一度ソクガイ.jpに問い合わせてみてはいかがでしょうか?

あなたの物件の売却価格はどのくらい?

今すぐ無料で査定してみる

株式会社NSアセットマネジメント

「不動産投資の業界を誰もが挑戦できるクリアな業界に変える!」をモットーに、2016年6月、不動産投資家が集まって立ち上げた会社です。設立以降、不動産投資家による不動産投資家の為の投資コンサルティングサービスを複数展開すると共に、投資用物件の売買も行っています。宅地建物取引士、賃貸経営管理士、AFP認定者等、不動産から資産運用まであらゆる問題を解決する専門家が記事を監修、校閲しています。不動産を売りたい方、買いたい方、不動産にまつわる様々な疑問・問題を抱えている方へ役立つ情報をお届けします。

関連記事

マンション売却アパート売却家・戸建売却不動産売却相場・査定

不動産の実勢価格とは?他の価格との違いや調べ方なども解説

土地や中古マンションや中古一戸建てなど中古物件の売却(不動産取引…続きを読む
リースバックマンション売却アパート売却家・戸建売却不動産売却費用・税金・ローン

住宅ローンを払えない場合はどうすればいい?解決策と最終手段

住宅ローンを利用してマンションや一戸建てなどの物件を購入した人の…続きを読む
不動産売却

借地権ってどんな権利?メリット・デメリットをわかりやすく解説

借地権とは、建物の所有を目的とした借地借家法(旧借地法を含む)に…続きを読む


PageTop