あなたが不動産投資を始める「目的」は何でしょうか?会社以外の収入源を持ちたい、やがて不動産投資の収入でリタイアしたい、そう考えているからではないでしょうか。
この記事では、不動産投資でリタイアするためには「どのぐらいの家賃収入が必要か」を解説します。最後までお読みいただくことで、どのぐらいの家賃収入があれば、脱サラしてリタイアできるようになるのかを知ることが出来ます。
巷では「家賃収入100万円でリタイアできる!」と言われることがあります。しかしこれは間違いです。なぜなら「家賃収入=あなたの収入」ではないからです。もしあなたが不動産投資でリタイアを目指すなら、家賃収入とキャッシュフローの違いを知る必要があります。
私はその違いを正しく理解した上で不動産投資を進めてきたこともあり、開始から1年5ヶ月でリタイアすることが出来ました。この記事では、家賃収入とキャッシュフローの違い、どのぐらいあればリタイアすることができるのかを、私の経験を交えてお伝えします。
リタイアするために必要な金額はもちろん、それを実現するための正しい考え方も知ることが出来ます。最短距離で会社員をリタイアしたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
1.家賃収入100万円でリタイアは難しい
巷の不動産投資関連の書籍を読むと「家賃収入100万円で会社をリタイアできる!」といった内容をよく見かけます。その結果、不動産投資の目標として「家賃収入100万円」を目指す人が多くいます。
しかし、結論からお伝えすると、家賃収入100万円でリタイアすることはとても難しいです。なぜなら「家賃収入=実際に手元に残るお金」ではないからです。家賃収入が100万円あっても、それがそのまま収入として入ってくるわけではないのです。このことを正しく理解せずにリタイアを目指そうとしても、思うように実現できませんし、リタイアしても安心した生活を送ることは出来ません。
もしあなたが最短距離でリタイアしたいと考えるなら、まずは、家賃収入とキャッシュフローについて正しく理解することから始める必要があります。
1-1.家賃収入とキャッシュフローの違い
月100万円の家賃収入だけでは会社をリタイアして生計を立てることができない理由、それは、家賃収入とキャッシュフローはイコールではないからです。
- ・家賃収入=売り上げ
- ・キャッシュフロー=売り上げから必要経費や税金などを差し引いたもの
家賃収入とは、自分が購入した物件に入居者がつくことで発生する「売り上げ」のことを言います。そして、そこから運営に必要な諸経費、管理費、銀行へのローン返済などを差し引き、手元に残ったお金が「キャッシュフロー」です。
家賃収入が100万円あっても、自由に使えるお金が手元に100万円残るわけではありません。売り上げから諸経費を差し引き、さらにそこから不動産所得税、住民税などの税金を差し引いた最終的な手残りである「税引き後のキャッシュフロー」が生活などで自由に使えるお金なのです。
会社員なら年収1,000万円(月収約80万円)でも、1000万円全てを自由に使えるわけではありませんよね?税金などが差し引きされると、最終的な手取りの金額は80万円よりかなり少ない金額になってしまうわけです。不動産収入も同じです。額面上の売り上げと、最終的に手元に入ってくるお金は同じ金額ではありません。
家賃収入が100万円あったとしても、最終的に入ってくる金額はそこからかなり少なくなってしまいます。これが「家賃収入100万円でリタイアするのは難しい」とお伝えする理由です。
税引き後のキャッシュフローについては、下記の記事で詳しく説明していますので、是非、参考にしてください。
2.家賃収入100万円だと手元にいくら残るのか?キャッシュフロー計算
家賃収入月100万円では会社をリタイアするのは難しいことをお伝えしましたが、この場合、実際にはどのぐらい手元にお金が残るのでしょうか?
- 家賃収入月100万円とは?
- →売上が月100万円ある状態。
- ここから下記の費用がマイナスされ、残った金額が手元に残る金額
- ・銀行へのローン返済(一般的に50%)(50万くらい)
- ・管理会社への手数料(一般的に家賃の5%)
- ・清掃費用
- ・修繕費用等
- (清掃費用・修繕費用などで一般的に約10%)
- →キャッシュフロー :約30%
どんな投資の仕方をするかにもよりますが、キャッシュフローとして手元に30%残れば割と良い投資をしていると言えます。
家賃収入100万円なら、諸費用を差し引いて30万円残ればいい方です。しかしこれだけではありません。ここから税金を差し引かなければなりません。不動産所得税、住民税を差し引きすると、最終的に手元に実際に残るのは15万円〜20万円程度になってしまうのです。
- 家賃収入:月100万円
- 税引き後キャッシュフロー:月15万円~20万円
家賃収入から経費と税金、必要なお金全てを差し引いたものを「税引き後キャッシュフロー」と言います。このように見ていくと、家賃収入が100万円あっても最終的に手元に残るお金はかなり少ないと言うことがお分かりいただけると思います。
手元に残るお金の計算方法などについては、下記の記事で詳しく説明していますので、是非、参考にしてください。
3.不動産投資で失敗しないために知っておくべき「リスク」とは?
家賃収入月100万円ではリタイアできない理由を知って頂けたと思いますが、不動産投資には「収入が減るリスク」もあります。会社員からのリタイアを目指すなら、こうしたリスクを知っておき、備えておく必要があるのです。
3-1.不動産投資で収入減に繋がる可能性のある5つのリスク
- 空室
- 資産価値の下落
- 災害
- 不動産管理会社
- 利回り
物件を購入した後は、上記5つのリスクを考えておく必要があります。
不動産投資の代表的なリスク、それが「空室リスク」です。
できるだけ安い物件を購入し、そこから利益を得ようと考えることは間違いではないのですが、安い物件となると築年数の古い物件が多くなります。多額の修繕費が必要になったり、倒壊したりするリスクもあります。安く買えたとしても、物件の条件次第では、空室が多くなってしまうことがあるのです。
「資産価値の下落」「災害」などのリスクも頭に入れておく必要があります。
立地条件・環境条件の変化は、家賃収入に大きく関係します。資産価値が下落すると、当然家賃収入も得にくくなります。災害が起きることで資産価値が大きく下落してしまうことも、災害の多い日本においては珍しいことではありません。
「不動産管理会社」「利回り」は見落としがちなリスクです。
管理会社の管理がしっかり行き届いていないと、入居者の不満が増え、トラブルも起こりがちになります。そうして空室が増えてしまうと、想定していた利回りを得ることが難しくなるのです。「思ったより収入が入ってこない」と言う状況を招く原因になってしまうのです。
不動産投資で失敗しないためには、まずキャッシュフローを正しく理解することに加えて、キャッシュフローが減る原因になる「リスク」についても知っておくことが大切です。
不動産投資のリスクについては以下の記事で詳しく解説していますので、是非、参考にしてください。
4.「税引き後キャッシュフロー」で考えることが重要
家賃収入が月100万円あっても、実際の手残りは良くて月20万円程度です。これでは会社をリタイアすることは難しいわけですが、「実際どのぐらいのキャッシュフローがあればリタイアできるのか?」についてもお話ししていきたいと思います。
例えば、キャッシュフロー100万円とはどんな状態でしょうか。「家賃収入が300万円くらいあり、そこから経費を引いて100万円ほど残る」くらいのイメージです。
- 家賃収入:月300万円
- 経費を差し引いて残るキャッシュフロー:月100万円前後
ここで重要なのが「税引き前のキャッシュフローなのか?税引き後のキャッシュフローなのか?」ということです。税引き前と税引き後では、手元に残るお金、使えるお金は大きく変わります。税引き前と税引き後のキャッシュフローの違いについても合わせて解説しておきたいと思います。
4-1.同じ100万も「税引き前か後か」で大きな違いが出る
キャッシュフローは、税引き前か税引き後で大きな違いが出ます。不動産投資で早々にリタイアしたいと考えるなら、常に「税引き後キャッシュフロー」で考えていく必要があります。
税引き後キャッシュフローとは、文字通り「税金を支払った上で手元に残るお金」です。税金とは、個人であれば所得税、住民税。法人であれば法人税などがあります。
税金を支払った上で、キャッシュフロー額が100万円ほど手元に残るようであれば、会社をリタイアして生活することも十分できると思います。しかし、税引き前のキャッシュフローが100万円という状態ではとても危険です。なぜなら税金を支払った後に手元に残るお金、生活費として使えるお金はずっと少ない金額になってしまうからです。
3章でご説明した通り、不動産投資には「空室リスク」「予定外の修繕費」が発生します。空室が出た途端にキャッシュフローは減ることになり、予定外の修繕費が出た場合も同様です。税引き前のキャッシュフロー100万円程度では、こうしたリスクに十分備えることが出来ません。
4-2.私がリタイアした時の税引き後キャッシュフローは120万円
ここで、私が会社を辞めて、不動産投資の家賃収入のみで生計を立て始めた時のことをお話します。リタイアした当初の税引き後のキャッシュフローは月120万ぐらいありました。
月120万円と聞くと十分な額だと思うかもしれませんが、実際は毎日精神的なストレスを抱える毎日でした。
例えば、空室が10%出るだけで、キャッシュフローは減ります。突発的な修繕費が生じることもあります。潤沢な貯金があれば別ですが、貯金をしながら、空室や修繕などのリスク管理もしつつ、生計を立てることは正直厳しい状況でした。常に「お金」の不安、ストレスを抱えて生活していたのです。
この記事を読んで下さっている方は、会社を辞めて、家賃収入だけで生計を立てることを目標にしている方だと思います。そんな方に知っておいて欲しいことは「十分な家賃収入がない状態で急いでリタイアしても、会社員時代より大きな不安やストレスを抱えることになる」と言うことです。
私の経験からお伝えしておきたいことは、以下の2点です。
- ・税引き後キャッシュフロー月100万円では、安心した良い暮らしはできない
- ・収入が減る様々なリスクがあることを知り、備えておくようにする
不動産投資をする場合には、銀行から多額な借金をして、運営することになります。例えば、キャッシュフロー100万円ということであれば、多くの場合2億から5億ほどの借り入れをしている状態だと思います。
こうした借り入れがあることを考えると、毎月100万円程度のキャッシュフローではとても安心出来ません。少し想定外のことが起こるだけで、借り入れの返済すらままならなくなる可能性があるからです。
焦って会社を辞めてしまうと、後で後悔することになるかもしれません。大切なのは「リタイア後の生活を安心して送るための収入」を明確にして、不動産投資を進めることです。
5.家賃収入だけで安心して生計を立てるようになるためにいくら必要?
キャッシュフロー100万円程度でリタイアしても、安心して生活することは難しいことをお話しましたが、いくら家賃収入があれば安心して生計を立てていくことができるのでしょうか?
私が考える最低ラインは、税引き後キャッシュフロー200万円/月です。
毎月200万円以上が手元に残るようであれば、空室が出てもある程度耐えることができますし、残ったキャッシュフローから毎月50~100万円の貯金をすることも可能です。急な修繕が必要になった時に備えることもできます。
会社員をリタイアして不動産投資で生活していくことを考えるなら「税引き後キャッシュフロー200万円」を最低ラインの目標にすることをお勧めします。
6.不動産投資でリタイアするための目標の立て方
とはいえ、漠然と「キャッシュフロー200万円」を目指すだけではいけません。最後に、不動産投資で生計を立てるための「目標の立て方」についてお話しします。
ここまでお読み頂ければ、会社をリタイアして不動産投資で生計を立てるためには、キャッシュフローを正しく理解することと、リタイアできるレベルを知っておくことの大切さをわかって頂けたと思います。
早く会社を辞めたい、リタイアしたい、はやる気持ちのままに行動するだけでは上手くいきません。会社を辞めて家賃収入だけで生計を立てるためには「必要なキャッシュフローの金額を理解して、それを実現するためのプランを考えること」が重要だと言うことを覚えておきましょう。
6-1.人生設計に合わせてキャッシュフローの目標を立てることが大切
「○年後に会社を辞めてリタイアしたい」
「とにかく月100万円の収入を得られるようになりたい」
このように漠然とした目標を立てるだけでは不十分です。個人の人生設計に合わせて、キャッシュフローのプランを立てるようにしてみましょう。
例えば、
- ・まずはセミリタイアを目標にして不動産投資を始める
- ・そこから会社をリタイアして家賃収入だけで生計を立てるためのプランを考える
- ・安定した生活、贅沢な生活を叶えるため1年後の目標を立てる
- ・5年後、10年後の目標も考えてプランを立てる
などのように、人生設計に合わせてプランを組むようにしてみるのです。
会社を辞めたいという気持ちが強すぎる人の中には、キャッシュフローの目標を下げてしまう人も多くいます。キャッシュフロー100万円でも会社を辞めることは出来ます。しかし、実際に会社を辞めて家賃収入だけで生活しようと思っても、思うようには生計が立てられず後悔してしまう人が多いのも事実です。
人生設計に合わせて、長期的で、具体的なプランを立てるようにしましょう。そうすることで「今やるべきこと」が明確になっていきます。
6-2.家賃収入で生計を立てるために意識する7つのこと
焦ってリタイアして失敗してしまう人が多いことを知った私は、同じように焦って失敗しないために、以下の7つのポイントを意識して取り組みました。
- とにかく不動産投資の知識を身につける
- 税に関する知識も身につける
- 不動産投資のリスクを把握する
- 物件をできるだけ安く購入し、利益を得られるようにする
- 大きな修繕費などがかからないように、こまめに修繕する
- 「ローンを組む」などの会社員の属性を活かした行動をする
- 今の属性を最大限に活かして準備していく
会社を辞めたいという気持ちがはやるあまり、こうした基本を忘れがちになります。どれも特別なことではありませんが、不動産投資で成功するため、家賃収入のみで生計を立てるためには極めて重要なポイントです。
あなたが今、会社勤めをしながら不動産投資に取り組んでいるなら、「会社員」と言う属性を十分に活用することを意識してください。会社を辞めてしまうと、融資がつきにくくなります。
家賃収入だけで生計を立てていくためには、目標を立て、それを叶えるために必要なことを明確にしていきましょう。あなたが今会社員だとしたら、まずは今の属性を最大限活かし、適正なキャッシュフローを得るための目標を立てる必要があります。
目標から逆算しながら準備を進めていくことが、不動産投資でリタイアするための一番の近道です。
まとめ
1.家賃収入100万円で会社をリタイアするのは危険。
(家賃収入とキャッシュフローの違いをしっかり理解することが大切)
2.キャッシュフロー100万円でも、税引き前と税引き後では手元に残る金額は大きく異なる(税引き後キャッシュフローの把握が極めて重要。)
3.不動産投資のリスクも把握する。そのリスクに備えておく。
4.税引き後キャッシュフローの考え方を正しく理解する。
(リタイアするための最低ラインは税引き後キャッシュフロー200万円)
5.人生設計に合わせて適切なプランを立てて進めていくことが重要。
「家賃収入100万円を得られるようになって、会社を辞める」そんな目標を持つ人は多くいますが、家賃収入100万円でリタイアするのはとても危険です。
この記事では、私の経験を元にお伝えしてきましたが、私も最初は会社員の副業として不動産投資を始め、徐々に物件を増やし、会社員をリタイアすることが出来ました。
目標を叶えるためには、どのぐらいのキャッシュフローが必要か、そのためにどれぐらい物件を購入する必要があるのか、そしてどれだけの資金が必要になるのかを正しく把握しておくことが大切です。
ただ漠然と「リタイアしたい」では目標を叶えることは出来ません、目標を立て、着実に進めていくようにすることをお勧めします。